

世の中には、理想だけで解決できない困難があります。
『ダメ、絶対』という言葉だけでは救えない現実があります。
私たちは、今そこにあるリスクを否定したり隠したりするのではなく、正面から見つめます。
健康被害や社会的損失を最小限に抑える「ハームリダクション」の考えを広めることで、誰もが社会から排除されることなく、自分らしく生きていける環境を作ることが私たちの理念です。

ハームリダクション(Harm Reduction)とは、たばこ・アルコール・処方薬・違法薬物・ギャンブルなど、あらゆる依存や嗜癖に伴う「害」を、現実的に減らしていく考え方です。
「やめなければならない」「完全に断つべきだ」という理想だけを押しつけるのではなく、今この瞬間を生きている人の安全・健康・尊厳を最優先することを目的としています。

依存や嗜癖は、ストレス、孤立、トラウマ、貧困、身体や精神の不調など、さまざまな要因が重なって起こる、人間的でごくありふれた現象です。
たばこやお酒、処方された薬物も含め、「合法か違法か」「医療か嗜好か」で人の苦しさに差はありません。
ハームリダクションは、すべての人に等しく「守られる価値がある命」があることを前提にしています。

ハームリダクションは、「やめること」を否定しません。
でも、やめられない状態の人を切り捨てることもしません。
例えば──

こうした一つひとつが、命を守り、将来の選択肢を広げる「確かな支援」です。

私たちが目指すのは、「依存症のない社会」ではありません。困っている人が罰せられず、排除されず、安心して助けを求められる社会です。
支援は「条件付き」である必要はありません。やめるかどうか、変えるかどうかは、本人が決めていい。
ハームリダクションは、その選択を支えるための、現実的で、人に寄り添った支援のかたちです。